明治になって、わが国の医療は西洋医学が中心となり、漢方医学は片隅に追いやられてしまいました。西洋医学は、1つ1つの臓器の治療が中心であり、病因を削除するために薬剤の投与や外科手術を行ないます。感染症の治療と外科手術では大きな成果をあげて来ました。

 感染症が死因の上位から姿を消したとき、浮かび上がってきたのは、癌、動脈硬化、心疾患、高血圧、肥満、アレルギー性疾患などの生活習慣病といわれる病気です。これは食生活の欧米化、高脂肪食の過剰摂取に原因があるといわれています。西洋医学は、個々の臓器の治療が中心であり、人間を全体としてとらえる視点に欠けています。そのため生活習慣病の治療には力が乏しいことが明らかになってきました。

 そこで見直されて来たのが漢方医学であり、漢方生薬です。生活習慣病や、病気の原因となるストレスの解消には、心身医学や漢方医学が優れているからです。漢方医学は中国4千年の経験から生み出されたものであり、漢の時代に針灸を中心とする物理療法の「傷寒論」、そして薬物学「神農本草経」としてほぼ完成されたそうです。漢方医学は、内科的治療を得意とし、常に経験を重んじ、一人一人の体質を考慮した個人医学として発達を遂げて来たものであり、その特徴は、体質予防(体を強くして病気を予防する)と天然生薬の利用にあります。病気になってから薬を飲んで治すのではなく、ふだんから主に食事の素材にうまく取り入れることによって、病気を予防するという考え方をとっております。つまり人間が本来もっている自然治癒力の向上を目指し、ライフスタイル自体を改善しようとします。

 いま代替医療の導入が、医療費軽減のため世界的な流れになって来ていますが、代替医療も自然治癒力を高めて病気を予防しようというもので、漢方と通じるものがあります。

 朝鮮人参と同じウコギ科の植物エゾウコギは、広葉樹の原生林に自生しますが、分布はごく狭い範囲に限られ、ロシアサハリン州、中国黒竜江省、吉林省、それに北海道東部の美幌地方だけで極めて希少価値の高い薬草です。北海道で発見されたのは、1970年代で新しいため、わが国では朝鮮人参ほどには知られておりません。中国では古くから生薬として尊重されており、「ひとつかみのウコギは、荷車一杯の金銀宝石にも優る。」(本草網目)と記述されております。旧ソ連では1960年代の研究で「薬効が朝鮮人参より優れている薬草である」と認定されています。癌、心臓病、脳卒中、糖尿病、アレルギー疾患などの成人病の治療に効果があるとされています。また新陳代謝を活発にする活力源として宇宙飛行士やスポーツ選手に飲まれて目覚しい成果をあげました。

 甜茶はバラ科の植物で、中国南西部少数民族のよう族の住む広西壮族自治区が産地で、お茶として利用されております。「中国本草図録」には「熱を下げ、肺の乾きを潤し、痰を除き、咳を止める」と書かれています。また「広西植物名録」には「熱を下げ、喉の渇きを潤し、糖尿病や高血圧に効く」とあります。

 また三重大学医学部耳鼻咽喉科の関連病院で甜茶のアレルギー症状に対する臨床的実験が行なわれ学会発表されています。結論的には、バラ科甜茶には特有のポリフェノールが含まれており、これがマスト細胞内のカルシウム濃度の上昇を抑制することによりヒスタミンの放出を抑え込み、アレルギー 症状を抑止するとされています。

 紫蘇とアレルギー抑制作用の違いについては「甜茶はいわば上流側でヒスタミンなどの遊離を抑えてアレルギー症状を軽減するが、紫蘇はTNF産生を抑え、アレルギーの下流側ともいえる炎症が軽減される。」としています。